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建設業許可のお話【その3の1】~誰がやるか(経営者編)
建設を営むすべての方のアツきサポーター
しんもり行政書士事務所 行政書士 新森です。
今回は続きものの3回目。
③誰がやるか
です。
実は、この点が建設業許可を取得するあるいは維持する点で、十分考慮しておかないといけない点になります。
前回の「②何処でやるか」でも話に挙がりましたが、
建設業許可を得るためには、
①経営の責任者(「経営業務の管理責任者」といいます。)
②技術の責任者(「専任技術者」といいます。)
この要件を充たす人材がいないといけません。※両者を1名が兼ねることは可能です。
たとえ、何千人、何万人の従業員を抱える法人であっても、上記の人材が確保できなければ、ムリなんです。
もちろん、各要件にはそれぞれ「なることができる条件」があります。
まずは、「経営業務の管理責任者」から。
ちなみに、このルール、令和2年10月に大きな改正がありまして、さらに複雑になっています。
あえて旧称の「経営業務管理責任者(通称:経管)」を使用し続けて説明します。
だって、その方が解りやすいから。
なお、現在の正式名称は「常勤役員等(経営業務の管理責任者)」。もはやカッコ付で残さないと勘違いされる
事象が多発するのを、気づいている感じです。もちろん現場では余計な説明に時間を取られます。
よくある質問は「ウチの会社、常勤の役員が5名いるんだけど、それぞれに必要なの?」
。。。いえ、経管になられる方だけで結構です。わかりにくいですよねぇ、、、すいません。
これの繰り返し。
机の上だけで物事を考えるのが専門の方たちがよくやることなので、「俺が変えた」という事実だけ、必要みたいです。
少々話が長くなりますが、ご容赦ください。ゆるゆる見ていただければ。
まずは、この要件、2形態、存在します。
従来の「個人の経験による個人でのケース」(イ該当)
新規に「要件となる者の条件が不足している部分をチーム体制でフォローするケース」(ロ該当)
まずは「個人のケース」※イ該当と言います。
条件は、以下の①と②を充たす必要があります。
①法人であれば、「常勤の役員」であること。個人であれば事業主。※例外はあります。
②建設を営む事業者での役員経験・経営経験 5年間以上
①は分かりやすいのですが、分かりにくいのは②です。
これも、一つの業者でのみの経験でなくてもかまいません。該当経験を合計して上記になれば、OKです。
経営経験ならば、継続してその業を行っていたことを証明する必要が出てきます。
工事の実績を年を切らさず用意していくとか。
もちろん、許可保有年数でなく、実績・経営経験で証明していくということは、
その期間「無許可である」ことが予想されますので、無許可期間の工事1件あたりは
請負金額が税込500万円を超えていないハズです。念のため。
次に、「チーム体制」のケース※ロ該当と言います。
条件は、以下の①と②と③を充たす必要があります。
①経管として登録する人は、法人であれば、「常勤の役員」であること。個人であれば事業主。※例外はあります。
②建設を営む事業者での役員経験・経営経験2年間以上を含む、他業種も含んだ5年以上の経営経験
③①の経管を支えるメンバーとして、
「財務管理(お金)」「労務管理(人事)」「業務運営(契約行為)」の分野の経験者(補佐者)を配置、チーム体制として登録する
①②については、イ該当と大差なく入ってくると思いますが、ポイントは③の補佐者です。
すべての要件を担える方であれば、1人でも兼務可能ではあるのですが、見逃せない条件としては
・対象経験が5年以上(役職等には関わらない。部署として経験されていればOK)
・当該経験は申請会社で得た経験であること…他社経験はアウト。設立5年未満の新規会社はココでアウト。
・補佐者となる場合は、今後、経管の指揮系統の直下に組織上存在すること…人事異動が生じることも?
つまり、組織的にも人事的にも動かせる余裕のあるある一定上の規模をお持ちの事業者のための新ルールです、
ということです。シニカルですが。
それにしても、何でこのような経験期間が要件となるのでしょうか。
まったく経験がないけど、建設業に参入したい!って意欲がある方は、この時点で門前払い。
そういう知り合いを連れてきなさいよ、ってことになります。
もっと言うと、家族で設立しているような法人の場合。社長はお父さんで、会社の出納
を担当してるお母さんが取締役で。そんなケース、結構あります。
そのような会社が建設業許可を持っていた場合、その許可取得状況によっては、
『現場を知らないお母さん』も、十分経営業務の管理責任者たる地位を得ることになります。
会社に常勤で、役員である期間が充たせばOKですから。
こうなると、実際の建設業に対する意欲とは無関係になってくるような・・・
ここからは、想像ですが、このシステムが成立した当初、建設業を営みたいヒトは結構
いらっしゃったんじゃないかと思います。
頭数が異様に増えるのを防ぐための「株分け制度」。のれん分けと言っても
いいかもしれません。その方が業界の安定という点で有益。
そんな背景があったのではないか、と想像するのです。
いまやこの要件、建設業を行いたい若い世代にとっては、ある種の「壁」になっています。
実はこの制度、令和2年の改正のときに、なくなるんじゃないかなんて噂もあったほど、
業界的には評判悪かったりするのですが、、、その話はまた今度。
すいません。
②専任技術者
については、次回にさせてください。