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一番評価すべきなのは、現場での技量と経験。
許可要件のうちのポイントとなる人的要件。
いわゆる「人」の話。許可を取るためには、事業者内に必ずいないといけない人。
大企業であれ、中小零細であれ、この要件を備える個人がいなくなると、問答無用で許可が消えます。
どんな組織でも、基本的に個人の健康に許認可がかかっている、というわけです。
組織が大きくなればなるほど、非常にナンセンスな状況と思われます。
人的要件と呼ばれる「責任ある立場」は2種類。
経営側の責任者として「常勤役員等(経営業務の管理責任者)」
技術的な責任者として「営業所の専任技術者」
実のところ、経管については、令和2年10月改正で消えると思われていました。
協議の途中では、はっきりと廃止とアナウンスされていましたので。
それが、何故か、風向きが変わり、霞が関文学が花を咲かせ、
「廃止」が「合理化」になり、結局は「現状維持+α」へとその形を変えました。
中小零細にとっては、負担は同じ。改正の恩恵を受けるのは人的な規模を持つ大企業ばかり。
廃止の期待もあっただけに、ちゃぶ台返しのような対応には多くのため息が漏れたのでした。
経管については、色々と語りたいので、まずは技術の責任者から。
あくまで建設業ですから、ウデは大事。
技術能力の担保は必要不可欠だと思いますので、施工能力者の登録は
必要かとは思います。「うち、この工事は責任もって出来ます」の裏付けとして。
ただ、この技術能力の判定基準についても、少々問題がありまして。
「営業所の専任技術者」になることができる類型としては、以下の3点が考慮されます。
⓵業種に該当する技術資格を持っている者
⓶業種に該当する科目を履修して学校を卒業した者(学歴+実務経験)
⓷十分な期間、その業種の現場経験を積んだ者(実務経験のみ)
となります。ちなみに実務経験必要期間は、
・2級資格の1次試験合格または高校の学歴を使う場合は、卒後経験5年以上(※一部専門学校もアリ)
・1級資格の1次試験合格または大学の学歴を使う場合は、卒後経験3年以上(※一部高等専門学校もアリ)
・現場経験のみの場合は、対象業種にて10年以上の経験
となっています。
ほーん、ちゃんと類型化されてますね、と思いきや。
⓵の技術資格、すべての業種に対応しきれていません。つまり、資格該当がない業種もあります。
そういうときは⓶か⓷で申請することになります。
許認可の前提として、要件になるものが基本法で用意されていない。これは不思議です。
しかも、すべては基本法である建設業法に基づく資格ではありません。
それぞれの業界の資格や民間資格なんかを寄せ集めて、なんとなく満たせている感じ。
中には「技術士法」なんていう、大学教授レベルの知識を求める資格なんかも適用されます。
もちろん、現場経験何てあるんかなぁ、とちょっと疑問に思うくらいの座学資格も。
そもそも論として、許認可において「資格」は重要視されています。中には資格取得後
数年の経験を経ないと要件化されないものもありますが、基本的には資格証のコピーを添付しておしまい。
⓷なんて、その証明したい期間、ホントにその実務やってたの?の確認資料を積むのに、苦労します。
ここでは詳細を省きますが、技術者の価値を点数化する申請においては、
1級資格者は5点(監理技術者証を持っているとさらに1点加点)
2級資格者は3点
実務経験のみの方は「その他」として1点
の評価を与えている現状。
いわゆる資格至上主義なんです。
だから、ゼネコンの資格持ち学生の青田買いなんて起こったりします。
でも。
個人的には、実際の有用性の評価はまるっきり逆だと思っています。
現場で活きるのは、様々な事象に基づいた経験です。あれ、ちょっとあわない!ってなったときに、
それを現場で「帳尻を合わせる力」が真に求められる技量だと思います。
何とかして、というだけの元請は置いといて笑、現場を動かせる力は資格ではないと感じます。
ですから、私の中では、
『熟練工が一番の価値、現場を実際に仕上げる下請さんが一番の資産』
と感じています。
そして、
それが当たり前の価値観とならない限り、
いつまでも下請は替えが効く手足と思っている限り、
「技能の低下」「職人の減少」は避けられないものだと危機感を感じています。